腐植前駆物質水溶液と自然栽培について

 

・腐植前駆物質水溶液とは、「土壌生成理論」(内水理論)をもとに作られた土壌微生物のフェノール系代謝産物の水溶液でもあるとその製作者より説明を得た。

 

・内水理論とは、有機物が土に変化していく際の土壌微生物の役割と性質を説明している。

基本理論はフェノール系微生物代謝物が有機物を腐植化し、団粒化させていくものだが

 @特に注目したい点は、微生物の特徴として

  「内水理論 7」微生物は環境の変化に応じて、生き様を変える生物である。 

「内水理論10」土壌菌群が外的環境変化に応じて、フェノール系⇔非フェノール系の代謝機能を発現する。

つまり自然の状態において正常に生きている微生物はフェノール系の代謝産物を分泌するするが、自己の生存を脅かされる環境下(人為的環境下=薬剤散布などのある田畑)においてはフェノール系代謝産物を分泌できなくなってしまう。

同じ微生物であってもその代謝産物は  

 自然環境化におけるフェノール系代謝産物

 人為的環境下における非フェノール系代謝産物

に区別されることになり、自然環境化と人為的環境下ではその働きが違ってしまう。

このフェノール系代謝作用によるものだけが土壌の生成に関与するとしている。

 Aフェノール系代謝産物の特性として土壌の生成に関与する(「内水理論1.2.3)ほかに

  「内水理論 6」代謝産物(分泌物)が、自己に対する成長促進作用,外敵に対する抗菌作用を有する。

これは成長促進作用にとどまらず、非フェノール系代謝産物しか分泌できなくなってしまった土壌菌に対し、フェノール系代謝産物を分泌させる起爆剤ともなる。

このことから腐植前駆物質水溶液は人為的環境下において非フェノール系代謝作用しかなくなってしまった土壌に対し、自然環境化に向かうきっかけとなりえる。

また、フェノール系代謝産物は外敵である土壌菌群(土壌生成にかかわる菌群)以外の微生物(大腸菌、腐敗菌、病原菌など)は抗菌作用を発揮して雑菌とは共生しない。その結果、その土壌で育つ植物は病気に強く、抗酸化能が増大する。

 

@Aから考えられることは

慣行・有機栽培においての病害虫の多発やその生産物が腐敗に向かいやすい現象は土壌菌が非フェノール系代謝作用しか持たなくなったため、土壌生成に関与できず投入された有機物は土とならずに共生する腐敗菌などより腐敗に向かっているためであり、この状況が肥毒の一因(特に有機栽培圃場における肥毒の拡散した状態)と言うこともできるであろう。

 

 

 B簡易実験

下記写真において左は動物性植物性混合液肥、右は左と同じものに腐植前駆物質水溶液をまぜて数分たったもの。

左の液肥には当然、有機物と何らかの微生物群がいると考えられる。

これに腐植前駆物質水溶液中のフェノール系代謝物が添加される事で

そこに生息する微生物群がさらにフェノール系代謝物を分泌し始めることにより

土壌生成作用(「内水理論1)が働き、キレート構造を有した巨大分子が生じ沈殿した。

つまり、水溶液中の微生物はフェノール系代謝作用を持つように活性化したといえる。

このとき液肥中に投入されている有機物よりもその後沈殿した有機物は増大し、抗酸化能が高まるため大腸菌などの雑菌はいなくなる事が観測されている。

(この働きにより、キレート化が進み肥毒層の解消が期待される。)

 

ちなみにこのとき使用した腐植前駆物質水溶液の原料は竹と数種類の食品からなり

劇薬は使用していないので保健所からも清涼飲料水として認可されている。

この水溶液を作る粉末を実際食してみたが

外観・手触りは土のようで無臭、ゆるい酸味のあと甘味と苦味が口に残る感じで刺激感はない。

体内細菌にも有用で血液の抗酸化能の増大が測定されている。

もともとは上水・汚水の処理分野で活用されているとののこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・まとめ

@自然環境化において、微生物はフェノール系代謝物の働きにより有機物の腐植化を進め植物の繁殖を助けている。また微生物は有機物を餌として確保するためその有機物を増大させ、さらに抗酸化能を高めているともいえる。

 

A人為的環境化において、田畑は農薬と化学肥料・未熟堆肥の多投により、その微生物の働きを失い(非フェノール系代謝物しか分泌しない)、虫・病気の多発を招き、そこからの生産物は腐敗に向かいやすい。

 

Bそのような人為的環境化においても、フェノール系代謝物をそこに添加することにより、

フェノール系代謝作用を取り戻させると、

  (1)田畑に雑菌(大腸菌)が測定されなくなる。

(2)有害物質が無害化・固定化される。(キレートに取り込まれる。)

(3)土壌の団粒化が促進される。

(4)作物の抗酸化能が増大する。

こととなる。

 

C自然栽培においての「堆肥の活用」はまさにこのBの働きを期待するものと考えられる。

 

D自然栽培として「堆肥の活用」は、その圃場内での有機物の循環を基本とするのが本来であるが、長期の時間が必要とされているのが現状の最大の難関となっている。

 

E具体的に他で作成された腐食前駆物質水溶液の使用方法としては

(1) 田畑に希釈液を投入し、土壌微生物を活性させる。

(2) 播種前の種子(特に購入種子)、定植前の苗を希釈液に浸透し、

「人為的環境から自然環境への切り替え」をその微生物に指示する。

などの事が可能であると考えられる。

 

Fしかし、他で作成された資材を投入する生産方法は自然栽培とはいえないため、

(1) 自然栽培に移行するに当たり、慣行・有機栽培の最後の投入資材とする。

(2) 自然栽培移行の初期段階に、一度リセットして再挑戦を考える。

  (この場合投入後、その生産物は自然栽培生産物とは言わない。)

などの柔軟な対応によりその後の肥毒の浄化と団粒化した土つくりの時間を短縮させることが可能になれば、優良生産物の増収、さらに自然栽培を普及させていくことにつながると考える。