無肥料無農薬栽培の苦悩


無肥料で無農薬で、新鮮な野菜、米、果実たちを作っていけるのはとてもすばらしいことです。
しかしそこに行き着くには色んな苦労がつきまといます。

私はこれをやりはじめてすぐに、感じた障害をここに書き並べていきたいと考えました。
それは、新しくやってみようと考え取り組み始めた人たちが、この素晴らしい事にたどり着くまでに挫折しないように
前もって心づもりをし、備えてもらえればと思ってのことです。


2005・9・1

いきなり始めた無肥料栽培。
それまでは従来の慣行農法を多少考えて農薬を使わなくなったり、肥料を少なめにしたりして「いいものを」という考えでいただけでした。
農協の強引なやりかたに不満を持ったのがきっかけだったのですが、おかげで直接販売を手がけたため消費者の声をじかに聞くことが出来るようになったんです。
そこからもっといいものを消費者に提供出来ればと考えは発展。
天気に左右されながらも、じかに聞く消費者の反応は厳しい物もたくさんありました。
もう買わなくていいよ、そう思うほどの声さえあったんですが、そんな人こそずっと買い続けてくれています。
それは期待なんだと感じ、さらにいいものをと現在に至ったのですが、ネットでこの無肥料栽培と出会い、実践されている方々の声を聞き、
共感を覚え、その方向に進んできたということです。

そしてすぐに問題は出てきました。

無肥料栽培にするにはそれに合う土に育てなければならない。
それには数年かかる。
土を自然に帰す努力が必要になるんです。
それまでの慣行農法での残留肥料分と残留農薬(これを肥毒といいます)を抜いてしまわないといけない。
その間、最悪その土地からは収入は得られないかもしれない。

まずこれからです。
経済が破綻したんでは業にならないからです。

ただでさえきつい金銭状態の農業。
資本を入れて効率をあげなければ成り立たないような産業になってます。
その方向に合うのは現代農業のやり方です。

しかしそれは食を考えた場合?となっています。
このことは今後どこかで語ることにします。

日本の先端産業がこの効率を追いかけ世界に立ち向かい実績を上げてきました。

それを農業にも求めていたんです。
ところがそう簡単にいかないのが農業です。
食えなければ食えるようにしなくてはならない。

今向かう「無肥料栽培」はこの業としての問題から解決しなければ出来ない物だったのです。

幸い、私は農業だけでなく他の仕事と組み合わせてという考えだったので立ち向かっていますが、
専業としての向かい方は
まず経済をしっかりと現代農業で確率したうえで、少しずつ、無肥料栽培に切り変えて行くという方法しか採れないと思います。

私もやり方が乱暴だったのでかなりつらいものを感じています。

まず経済

これが第一の難関です。




回りに実績のある人がいないため、全て聞いたことを実践し確かめながらの仕事になります。
これでいいのか?

何度も考え、迷いながらの仕事は効率が悪くて仕方がない。
一瞬の間違いが数ヶ月を無駄にしてしまい、金にもならないのでは
慎重にならざるをえない。

確立された物があればそこにむかえばいいだけだが、
聞いた話は自分の立ち向かう環境とは違っているわけで
確かな物は何もない。
聞いた話の中から自分の環境に合った物を選び出し
進めなくてはならない。

今のところ聞いた話の確認作業ですんでいるので幸運なのかもしれないです。

移行するにあたっての確固たる指針がない

これが第二の難関です。


そして

第三の難関に直面しています。

それは家族の理解

私の場合はお袋との意見の違いです。
慣行農法に向かってやり通してきた人間にとって
無肥料でのやりかたは全て否定されます。

できた作物を考えるのではなく
土地を荒らさないということを一番に考える人間です。

草がはえると
私はいらないものを草が吸い出して土を綺麗にしてくれていると考えますが
お袋には
草は敵なのです。

そのままでいい

あらしてどうする!みぐるしい!

いくら説明してもダメ。

それどころか農薬で草を枯らしてしまおうとするので
猛烈な喧嘩になります。


年をとって多少は考えるみたいなんですが
草は敵というのが身に染みついて居るみたいです。


土地の見た目を綺麗にすることよりも
人の口はいる物を安全な物にすることが大事だと言っても
金にならなかったら何もならないと一蹴します。

これは
他のなによりも堪えます。


理想と現実のはざまで
苦しみを感じるところです。

収穫が少なくなると

「ほら見ろ」


その分高く買ってもらうようにしてるから実質は変わらないといって
なんとか納得させます。



これから
さらに問題は出てくると思います。
それはまたそのたびにここに書いていくことになると思います。